東大・京大を目指すなら、数学オリンピックの過去問にチャレンジしてみよう!

東大・京大を目指すなら、数学オリンピックの過去問にチャレンジしてみよう!

 
数学オリンピック。

 
名前は聞いたことがあったのですが、

どんな大会なのか?
どんな問題が出題されるのか?

などについては、ほとんど知りませんでした。

 
たまたま数学オリンピックの過去問を見る機会があり、解いてみると・・・

メチャメチャ面白い。

 
もちろん、問題は難しいのですが、いわゆる良問が多い。

東大・京大などの難関大学を目指すのであれば、数学オリンピックの過去問にチャレンジすることをおススメします。

 
この記事では、その理由や数学オリンピック・東大・京大の入試で出題されるような「難しい問題」の解き方についても紹介します。

数学オリンピックとは

数学オリンピックとは、名前の通り、数学で競い合う大会です。

参加できるのは、高校生以下。中学生も参加できます。

 
まずは国内予選があり、予選通過者約200名が本選へ。

本選で20名を選抜し、さらにその中から、世界大会出場者を6名選抜する。

 
そんな感じの大会です。

問題の難易度は・・・

問題の難易度は当然高くなっています。

とくに、本選の問題。

 
日本中から選ばれた200人が受ける試験です。

そこからさらに20人へと絞り込むための試験。

 
東大合格者が、毎年約3,000人なので、東大に合格するよりはるかに難しいレベルといえます。

おそらくですが、東大合格者に「数学オリンピック本選の問題」を解かしても、ほとんどの人が解けないのではないでしょうか。

それくらい難しい問題が出題されます。

 
というわけで、「数学オリンピックの本選の問題」を解くことはおススメしません。(「将来、数学で飯を食っていくぞ!」という人にはおススメします。)

予選の問題がおススメ

おススメなのは、「予選」の問題です。

こちらもなかなかハードではあるのですが、東大・京大を目指すのであれば、解けるようになっておきたいレベルの問題が数問出題されます。

 
予選の問題は計12問。

その年の難易度にもよりますが、だいたい6問程度を解けば本選に進めます。(年によっては5問のときもあれば、8問のときもあります。)

つまり、全国の数学に自信がある強者達が半分解けるかどうか。そんなレベルの問題です。

 
では、12問全てが難しいかといえば、決してそんなことはありません。

とくに、第1問は比較的簡単です。

傾向としては、問題が進むにつれて難しくなっていくようです。

 
イメージとしては次のような感じでしょうか。

人によって得意な分野、苦手な分野もありますし、年よっても違うので一概には言えませんが・・・。(あくまでイメージとして捉えてください。)

 
◆第1問
比較的簡単な問題(サービス問題)

 
◆第2問~第5問
東大・京大を目指すなら解けるようにしておきたい問題

 
◆第6問~第9問
東大・京大受験で、数学を武器にしたい(数学で8割以上取りたい)人が解けるようにしておきたい問題
(数学オリンピック本選出場ラインの問題)

 
◆第10問~第12問
東大・京大でも出題されないような難しい問題。数学エリートのための問題。

問題自体は共通テスト(旧センター試験)とそれほど変わらない

では、第2問~第9問で、飛び切り難しい問題が出題されているかといえば、そんなことはありません。

共通テスト(旧センター試験)で出題されてもおかしくありません。

 
ですが、共通テストと数学オリンピックには大きな違いがあります。

 
それは、誘導があるかどうか。つまり、ヒントがあるかどうか。

 
過去のセンター試験の問題を見てみると、実は結構難しい問題が出題されています。

そりゃそうです。毎年約50万人も受ける試験で簡単な問題を出題してしまったら、満点者が続出してしまいます。

そうならないように、そこそこ難しい問題が出題されています。

 
その代わりに、誘導問題がついています。

つまり、ヒントや部分点をあげています。

結果として、平均点が50点くらいになるように制御されています。

 
もし、これまでのセンター試験と同じレベルの問題で、「最後の答えだけを回答せよ」という出題形式にしてしまったら、おそらく平均点が10点くらいになってしまうのではないかと推察されます。

 
 
さて、ここで数学オリンピックの問題に話を戻します。

数学オリンピックは、まさにそれをやってるんですよね・・・。

 
最後の答えを回答せよ。以上。

ヒントなし。部分点なし。

これが、数学オリンピックの問題を難しくしている要因の1つです。

 
ですが、出題されている問題のレベル自体は、大学受験の問題とそれほど変わりません。

つまり、東大・京大などの難関大学を目指す人達にとっては、解けるようにしておきたいレベルの問題ということです。

良問が多い

良問が多いことも、数学オリンピックの予選問題をおススメする理由の1つです。

「良問」の定義はあいまいですが、私の考える良問とは、

 
「問題を見ただけでは解答の方針が全く想像つかない。でも、試行錯誤していくうちに方針が見えてくる。ゴチャゴチャした計算がほとんどない。発想力が重要。解けたあとにスッキリする。」

 
そんな感じでしょうか。

東大や京大などで出題される「やや難しい問題」がこれに当てはまります。

合否を分ける問題ともいえます。

 
東大・京大の数学で6~7割を狙う人に、ぜひとれるようになってもらいたい問題です。(予選の第2問から第5問くらいの問題)

これらの難しい問題をどうやって解いていくのか?

ここからは、「これらの難しい問題をどうやって解いていくのか?」について紹介します。

 
数学オリンピックの予選問題や東大・京大の難しい問題を解くためには、それなりに訓練する必要があります。

東大・京大で出題される問題も、すべてが難しいわけではありません。

 
全体のうち、

  • 4割程度が基礎問題
  • 4割程度が標準問題
  • 2割程度が発展問題

 
概ねこのような構成になっています。(ただし、ここでの「基礎」や「標準」とは、東大・京大受験者にとっての「基礎」や「標準」です。普通の受験生にとっては基礎が「標準から発展」のイメージです。)

 
この「基礎問題」というのは、学校から配布される参考書(例えば、チャート式など)をマスターしておけば十分に解けるレベルです。

「標準問題」の一部も参考書程度の知識で解けてしまう場合もあります。

つまり、ものすご~く難しいというわけではありません。

 
チャート式などを完全にマスターして、かつ、他の教科でしっかり点数をとれれば、それだけで合格できる可能性があります。(東大理Ⅲ、京大医を除いて)

まずは、参考書をマスターすべし

つまり、最初にやるべきは、参考書をマスターすることです。

参考書は色々あるのですが、「学校で配布されたもの」を使うことをおススメします。

夏休みの宿題などで課題として出されることもあるのと思うので、色々と都合が良いと思います。

 
ただ、参考書は分厚いので早めに取り掛かることをおススメします。

手を付け始めてもなかなか終わりません。

 
そして、遅くとも、高3の夏休みまでには完璧にマスターする。

そのくらいの意気込みが必要です。

 
 
ちなみに、数学オリンピックの予選通過者達は、ほとんどが高校2年生や高校1年生です。まれに中学生もいます。

おそらくですが、これらの人達は、数学においてはこの時点で東大・京大に合格できるだけの実力があると思われます。いわゆる天才という人達です。

 
東大・京大を目指してくる人たちは、ここまでいかなくても、やはり似た人達が多い。

つまり、早めの段階ですでに仕上がっています。

これらの人達と勝負するためには、自分も早めに仕上げていかなくてはいけません。

というより、受験直前期には、他の教科も勉強しなくてはいけないので、数学に費やせる時間はそれほどありません。

 
とにもかくにも、さっさと参考書レベルの問題は、マスターすることが重要です。

参考書に載ってないような難しい問題は・・・

ただ、当然ながら、東大や京大では、参考書に載ってない問題も出題されます。

参考書に載っている問題だけを出したら、満点のオンパレードになってしまうので。

 
見たことない問題。

そんな問題が出題されます。数学オリンピックも同じような感じです。

とにかく試行錯誤すべし

このような問題を解くためには、試行錯誤するしかありません。

試行錯誤して、いかに活路を見出すことができるか。

それが合否の分かれ道となります。

 
試験問題として出題されている以上、必ず解けるようになっています。

難しすぎる問題は「悪問」と非難されてしまうので、出題者側も基本的には出しません。

 
つまり、考えて考えて考え抜けば、必ず解けるということです。

 
ただし、制限時間があります。

その時間内に、答えを導き出す必要があります。

 
そのためには、試行錯誤を何回も何回も「素早く」繰り返すことです。

頭をフリーズさせてはダメです。百害あって一利なし。

 
思考を止めないように何回も何回も色んなことを試してみる。

色んなことを試しているうちに、「あっ!参考書に出てきたあの解法が使えるかも!」といった思考に辿りつけるようになります。

そのためにも、参考書レベルの問題をマスターしておく必要があります。

むやみやたらに試行錯誤してもダメ

むやみやたらに試行錯誤しても、なかなか答えに辿り着くことはできません。

ある程度のパターンを身につけておく必要があります。

 
難しい問題の場合は、具体的ではなく、抽象的であることが多い。例えば、「n回目」など。

抽象的な問題は、頭の中も抽象的になってしまい、なかなか思考が進みません。

そんなときは、具体的な数字を入れてみることで、イメージを掴みやすくなります。(例えば、「n=1」や「n=2」などを代入してみる、など)

 
イメージが掴めると、「出題者の意図」や「問題の法則」などに気付きやすくなります。

 
あと、どうにもならないときには、「数学的帰納法」や「背理法」が有効な場合があります。他には「数列漸化式」を利用するなど。

 
他にも例えば、図形の問題であれば、平行線を引いてみる、円を書いてみる、相似を探してみる、などで思考が進む場合があります。

これは数学オリンピックの予選問題でよく出題されるパターンです。

「自分で」補助線を引くのはかなり難易度が高いのですが、これはある意味「慣れ」です。

このような試行錯誤は普段から練習しておかないと、本番ではなかなかできません。

とはいっても、東大・京大の場合には、「自分で補助線を引く問題」はあまり出題されません。難しすぎて受験者の大半が解けなくなる可能性があるからです。

ですが、このような補助線を引けるようになると、出題者の意図とは異なる解法を思いつけることもあるので、このような訓練をしておくこともやはり大切です。

試行錯誤の末に解けた問題は、自分の血肉となる

試行錯誤は大変な作業ですが、その代わりに苦労した分だけ、それが自分の血肉になります。

苦労して解いた問題は、なかなか忘れません。

 
難しい問題といっても、受験問題として出題される以上、ある程度はパターン化されています。

試行錯誤を繰り返していくうちに、「似たような難しい問題」を解けるようになっていきます。

 
また、解答まで辿り着けなかった場合でも、試行錯誤した結果を答案用紙に残しておくと、東大や京大の場合は点数をもらえることもあるようです。それが合否を分ける可能性もあります。

先述のように、数学オリンピックの場合は、答えのみを回答する形式なので、試行錯誤しても点数はもらえません。そう考えると、やはり東大・京大よりも数学オリンピックの方が難しいといえそうです。

最後の手段。ゴリ押し

最後の手段ですが、「ゴリ押し」も立派な戦術です。

例えば、本来の解法とは異なる複雑な計算をゴリゴリ押し進めて、答えを導き出す。

他には、場合の数であればすべて数え上げてしまう、など。

 
数学オリンピックにしろ、東大・京大にしろ、試験時間は2時間以上あります。仮に30分かかっても解ければいいわけです。

「場合の数」であれば、30分も真剣に数えれば、1,000通りくらいは余裕で数えることができるはずです。

 
とくに、数学オリンピックの予選問題の場合、この方法で解ける問題が数問出題されます。(かといって、この方法で予選突破できても、おそらく本選で撃沈しますが・・・)

東大・京大に関しても、年によりますが1題くらいは出題されているように思います。

 
ゴリ押しも立派な数学力です。

普段は、まずはスマートな解法を目指し、解けた後に、別解としてゴリ押しを練習する。

そんな方法が良いのではないかと思います。

本番中の新たなひらめきは、まずない

本番中の新たなひらめきは、まずありません。

 
例えば、三平方の定理。

直角三角形において、次のような関係が成り立つ公式です。

「底辺の2乗」+「高さの2乗」=「斜辺の2乗」

 
中学生以上であれば、ほとんどの人が知っていますよね。

でも、この公式を全く知らない人が、いきなりこの公式を思いつくでしょうか?

 
気付いたら天才ですよね。

例えば、三平方の定理を知らない小学生に、直角三角形の図を渡して、「2時間以内に気付いたことを述べよ」という問題を出しても、三平方の定理に気付くような子供はまずいないと思います。

 
このように、新しいことを短時間で発見するのはほぼ不可能です。

 
何が言いたいのかというと、

時間内に難しい問題を解くためには、自分がすでに持っている知識に結びつけるしかない

ということです。

 
そのために、

  • 参考書に載っているパターン問題を身につけておく
  • そこに紐づけるために色んなことを試行錯誤する
  • 試行錯誤の方法も、ある程度パターン化しておく

こういったことが重要になってきます。

数学の点数を伸ばす一番の秘訣は、数学を楽しむこと

色々と説明してきましたが、数学の点数を伸ばす一番の秘訣は、数学を楽しむことです。

  • 参考書を勉強する
  • 試行錯誤をする

これらは数学が楽しくなければなかなかできません。

もし、つまらないのであれば、苦行になってしまいます。

成績も伸び悩むことになります。

 
まずは数学を「好き」になることをおススメします。

そのためにおススメなのが、数学オリンピックの予選問題を解くこと。

 
面白い問題ばかりですし、解けた後のスッキリ感はなかなかのものです。(ただし、ある程度の学力は必要)

 
解ける解けないは別にして、純粋に楽しんで解いてみてください。

実際に面白いですし、面白さに気付ければ、数学の点数をぐんっと伸ばせる可能性があります。

数学オリンピックの問題はどこで手に入る?

数学オリンピックの問題は、ネットに掲載されています。

ただし、解答がないんですよね・・・。(答えだけは掲載されています。)

 
小さな書店では、数学オリンピック関連の書籍は、おそらく取り扱っていません。

大きな書店に行く、もしくは、ネットでの購入がおススメです。

まとめ

東大・京大を目指す人は、「数学オリンピックの予選問題」にぜひチャレンジしてみてください。

純粋に面白いですし、数学の成績を伸ばすきっかけになるかもしれません。

 


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