大学院に行くべきか、就職すべきか

大学院に行くべきか、就職すべきか

どちらに行くか迷ったら

「まぁ、みんな大学院行ってるし、大学院行っとくか!」

そんな人は、ちょっと待ってください。大学院はノリで行くものではありません。後で後悔する可能性があります。

大学院に進学することで、知識を深くすることができます。しかし、その一方で、知識の範囲は狭くなっていきます。

深く、狭く。まさにスペシャリストです。響きはカッコいいのですが、その代償として、いくつかのリスクを背負い込むことになります。

大学院に進学することで、将来の選択肢が狭まる可能性がある。その覚悟があるか。

先述のように、大学院に進むことで、スペシャリストになることができます。(正確にはスペシャリスト見習いといったところでしょうか。)

しかし、スペシャリストにはリスクがあります。それは「将来の選択肢が狭まること」です。

例えば、サッカーのゴールキーパーはスペシャリストですが、スペシャリストゆえに、ゴールキーパーはゴールキーパーにしかなれません。

後で「やっぱフォワード(点を取りに行くポジション)が良かったな・・・」と思っても、時すでに遅し。

自分がゴールキーパーの技術を磨いている間に、フォワードの人はフォワードの技術を磨いています。その人からポジションを勝ち取ることは簡単ではありません。

つまり、一旦ゴールキーパーになってしまうと、その先もゴールキーパーにならざるを得ないということです。

このように、スペシャリストになると、将来の選択肢が狭まる可能性があります。

大学院で学んだ知識を、就職後に活かせない可能性がある。その覚悟があるか。

スペシャリストというのは、スペシャリストがゆえに、採用枠がそれほど多くありません。

先ほどのゴールキーパーの例で考えると、ゴールキーパーというスペシャリストはチームに絶対必要ですが、何十人もいる必要はありません。数人いれば十分です。

つまり、ゴールキーパーになれる人数は限られているということです。

もし、ゴールキーパーになれなかった場合には、他のポジションに移る、もしくは、サッカーという競技をあきらめることになります。

いずれにしても、今まで培ってきた技術を捨てることになります。(一部使える技術もあると思いますが・・・)

実は、大学院経由で就職した人の多くが、このような状態になってしまっています。つまり、大学院で学んだ知識を、就職後に活かしきれていない。おそらく、半数以上がこの状態だと思われます。

「昨日まではゴールキーパーだったけど、今日からは野球のピッチャーやります」みたいな感じです。もちろん上手くいくわけがありません。一からピッチャーとして経験を積み直すことになります。

会社側もそのことをわかっていながら、大学院生を採用しているように見えます。正直、会社側のやりたいことがいまいち理解できません。

先に入社した学部生に追い抜かれる可能性がある。その覚悟があるか。

大学院を経て就職すると、先に入社した学部生に追い抜かれる可能性があります。

大学院に進学する人の多くは、24歳で就職します。一方、学部生の多くは、22歳で就職します。

大学院で学んだ知識を活かせない場合には、ほぼ0からのスタートとなります。一方、学部生は、22歳、23歳のときから、会社でバリバリ働いています。

両者が同じ24歳になったときに、その会社において、どちらの実力が上かは言うまでもありません。

大学院に進むべき人は、強い思い入れがある人

大学院に進むべき人は、「その大学院に対して強い思い入れがある人」だと考えています。(筆者の個人的見解です。)

先ほどのゴールキーパーの例で言えば、

「ゴールキーパーってめちゃくちゃ面白そう!」
「ゴールキーパーってめちゃくちゃカッコいい!」
「絶対にゴールキーパーになりたい!」

などの強い気持ちを持っている人です。

先述の大学院に進むことのリスクを知ってもなお、「絶対に大学院に行きたい!」という気持ちがないのであれば、大学院に進学することはおススメできません。

大学院に行かないと就職が難しい?

いつから始まったのかはわかりませんが、「理系は大学院に行かないと就職が難しい」という風潮があります。正直、意味がわかりません。

会社側がこの流れをやめてくれれば済む話ですが、なかなかやめてくれません。

「大学院に行く目的は、就職のためだけ」という人は、大切な2年間を棒に振ることになります。あまり得策とはいえません。

この状況を打開したければ、大学院という学歴以上のインパクトを会社に与えればいいだけのことです。その例を何個か挙げてみたいと思います。

大学でトップレベルの成績をとる

大学は、高校とは違い「自主性」を重視されます。

大学の教授は、「勉強やれ!」というよりも「勝手にやれば?まあ、できなければ留年だけど。」といったスタンスになります。

また、自由度も高いので、バイトもできるし、いろいろな場所にも遊びに行けるようになります。

これらの理由から、高校のときのように必死に勉強する人が格段と少なくなります。

ここにチャンスがあります。周りの人が気を抜いている間に、コツコツと勉強を続ければ、入学時に自分よりも上にいた人達を一気に抜き去ることができます。トップレベルを目指すことも不可能ではありません。

大学の成績は、もちろん会社側にも伝わります。大学院の学歴がなかろうと、大学の成績がトップレベルであれば、インパクトを与えるには十分です。

コンテストなどに出場する

コンテストなどに出場する方法もあります。

例えば、ロボットコンテストに出場した経験がある場合。

ロボット関連の会社にとっては、何をしてくれるかよくわからない大学院生よりも、ロボットコンテストの出場経歴を持つ人の方が、はるかに魅力的に感じます。

大学4年間真剣に打ち込んだことがあればそれが武器になる

勉強やコンテストに限らず、4年間真剣に打ち込んだことがあれば、それが武器になります。

部活、サークル、バイトなど、なんでもOKです。例えば、「バイトでバリバリ働いてたら、店長になって、そのうえ、店舗の売上が1位になっちゃいました。」なんて言われたら、会社側に与えるインパクトとしては十分です。

会社側は、「この人が会社に役立つスキルを持っているか」という視点で当然見てきますが、「この人といっしょに働いてみたい」「この人を採用したら面白そうだ」という視点でも見てきます。

とくに目的もなく大学院に進んだ人達よりも、自分を魅力的に見せることはそれほど難しいことではありません。

「まだ、働きたくないから大学院に行く」は言語道断

たまに「まだ、働きたくないから大学院に行く」という人がいますが、言語道断です。

大学院に進学するのには、お金がかかります。そのお金は当然、親が出してくれます。

親が働いて稼いでくれたお金を「自分が働きたくないから」という理由で使う。いかがなものかと思います。

お金があり余っているのであれば、それでもいいとは思うのですが、そんな家庭はそんなに多くないはずです。もし、大学院に行くためのお金を使わなければ、そのお金で親は海外旅行に何回もいけます。

大学院に進学する頃には、親もいい歳になっています。何が起こってもおかしくない年齢です。親孝行は親が元気なうちにすることをおススメします。

ノリで大学院に行くのはおススメできない

「周りの人が行くから大学院に行く」、「大学院に行かないと就職しにくそうだから行く」という方は、大学院進学をあまりおススメできません。

この記事の内容は、筆者の実体験に基づいています。そのため、偏見が入っていますが、実態とそれほどずれていないと思います。

筆者自身、大学院に行かずに就職したのですが、大学院に行かなくて後悔したことは一度もありません。逆に行っていたら、後悔してたと思います。

もし、現在大学院に進学するか悩んでいるようでしたら、「大学院で何を身につけたいのか」を明確にしてみてください。これが明確にならない場合は、行ってもおそらく後悔することになります。