「現代文」を勉強すべき理由と「センター現代文」の攻略法

「現代文」を勉強すべき理由と「センター現代文」の攻略法

得意じゃないけど、苦手でもない

勉強しても点数が上がらない。でも、勉強しなくても点数が下がらない
 

センター試験の「現代文」に対して、こんなイメージの人もいると思います。その結果、現代文の優先順位を下げてしまう・・・。

 
ちょっと待ってください!

日本に住んでいる限り、「現代文」は全科目の中で一番重要な科目です。

 
現代文を勉強することで、他の科目の点数UPにもつながります。また、受験後の人生で役立つスキルを向上させることができます。

 
現代文は勉強すれば、必ず点が伸びます。ただし、時間がかります。受験に間に合うように、今日から勉強を始めることをおススメします。

※ 以下、センター試験の現代文のことを「センター現代文」と呼びます。
 

「現代文」を勉強すべき理由

現代文で「論理力」が磨かれる

現代文を勉強すると「論理力」が磨かれます。

ここでの論理力とは、次のような力のことです。

  • 相手を言葉巧みに納得させる力
  • 相手の意図を読み取る力

現代文の得点を上げるのに必要なのは、「相手(筆者)の意図を読み取る力」です。

一方、この力を鍛えると「相手を言葉巧みに納得させる力」も向上します。

2つの力は表裏一体と考えてください。

「論理力」が向上すると・・・

論理力は、受験でも役立ちますし、社会人になってからも役立ちます。

 
例えば、受験であれば、教科書の内容を理解するスピードが速くなります。現代文だけに限らず、他の科目の点数UPにもつながります。小論文や面接で自分の意図を相手に伝えやすくなります。

 
社会人になると、「文章を書く機会」、「文章を読む機会」、「人と話す機会」が増えます。論理力があると、これらを円滑に進めることができます。

センター現代文の点数を上げるためには

現代文を勉強すると「論理力」が向上します。逆に、「論理力」を鍛えれば、現代文の能力が向上します。

しかし、「論理力」が向上したからといって、現代文の点数が上がるとは限りません。

 
とくに、センター現代文は

  • 制限時間が短い割に、文章の量が多い
  • 選択肢が紛らわしい

といった理由から、「問題を解くためのテクニック」も必要となります。
 

つまり、センター現代文の点数を上げるためには

  1. 論理力を鍛えること
  2. 解法テクニックを身につけること

の2つが必要です。

「論理」は相手によって揺れ動く

先述のように、ここでの論理力とは、次のような力のことです。

  • 相手を言葉巧みに納得させる力
  • 相手の意図を読み取る力

 
一を聞いて十を知る

という諺(ことわざ)があります。これは「少し聞いただけで全てを理解する」といった意味です。

 
「一を聞いて十を知る」人に対しては、「一」を伝えることが「論理」となります。

「十を聞いて十を知る」人に対しては、「十」を伝えることが「論理」となります。
 

つまり、「論理」は「相手」によって揺れ動きます。
 

では、論理力をどこまで鍛えればいいのか。それは、「相手」に自分の意図が伝わるまで、「相手」の意図を自分が理解できるまで、です。

現代文であれば、「文章の作者」の意図を理解できるまでです。

 
ただ、厄介なことに「現代文の文章の作者」は「読み手」を高校生だとは1ミリも考えていません。

想定している「読み手」は、社会人、しかも、文章が大好きな「文章オタク」です。そのため、高校生には理解しづらい難解な言葉や表現が用いられます。

つまり、現代文を理解するためには、自分の論理力を「文章オタク」のレベルまで引き上げる必要があります。

論理力を鍛えるには

論理力を鍛えるためには、次の3つが必要です。

  1. 語彙力を鍛える
  2. 人生経験を増やす
  3. 論理パターンを身につける

語彙力を鍛える

現代文を理解できない一番の原因が「語彙力不足」です。

語彙力とは「どれだけ多くの言葉(単語、慣用句など)を知っているか」といった意味です。

 
現代文の問題に選ばれるような一流の「書き手」は、一言一言に強い思いを込めています。しかも、厄介なことに日常生活ではお目にかからないような言葉をバンバン使ってきます。

知らない言葉が少しであれば、「書き手の意図」を前後の文脈から理解できますが、多すぎれば、暗号文のようになってしまい、「書き手の意図」を理解できなくなります。

語彙力の鍛え方

語彙力を鍛えるには、

  • 多くの文章に触れること
  • そこで出会ったわからない言葉を調べること

が効果的です。新聞や本を多く読む。辞書で調べる、などです。

 
しかし、忙しい学生にとって、新聞や本を読む時間を確保するのは容易ではありません。(おそらく、学生の方がサラリーマンよりはるかに忙しい。)

仮に、時間を確保できたとしても、もっと他の事に時間を使いたいはず。
 

そこで、おススメなのが「学校の現代文の授業を有効活用すること」です。

まずは、現代文の授業(教科書)で出てきた「わからない言葉」を徹底的に調べてください。

次に、その言葉が出てきた文章を繰り返し読んでください。(目標7回)
 

辞書で調べただけではすぐに忘れてしまいます。文章の中で使われている「生きた言葉」に繰り返し触れることで、記憶が定着しやすくなります。

わざわざ、現代文の勉強時間を確保するより、現代文の授業を最大限利用した方が効率的です。

  • テスト前がラクになる
  • 成績が上がる
  • 他のことに使える時間が増える

など、メリットばかりです。

人生経験を増やす

語彙力を増やしても、人生経験が少ないと相手の意図を理解できない場合があります。

 
例えば、「育児はたいへんだ」という言葉。

 
育児経験のない人は、

「へ~、そうなんだ」

このくらいの感想しか出てきません。

 
しかし、実際に育児経験をした人は、

「育児って本当たいへん!夜、全然寝れなくてつらかった・・・」

などと感じます。

 
つまり、同じ言葉でも、経験の有無で重みが変わります。

経験のない人は「相手の意図」をスルーしやすく、経験のある人は「相手の意図」をキャッチしやすくなるということです。

 
厄介なことに、「現代文の文章の書き手」が想定している「読み手」は、文章マニア、しかも、年齢は若干高めです。その人達が経験済みでイメージしやすい例などを引用してきます。

高校生にとっては、より理解しづらい文章になっています。

 
つまり、現代文の文章の書き手の意図を読み取るためには、語彙力に加え、人生経験を増やすことが必要。

しかし、高校生には経験できないことがたくさんあります。例えば、現代の日本では、高校生が育児に携わる機会はほとんどありません。

他人の人生経験を「疑似体験」しよう!

そこでおススメなのが、他人の人生経験を「疑似体験」することです。

例えば、「テレビドラマを見る」などです。テレビドラマは、高校生がなかなか経験できないテーマを取り扱ってくれます。育児、仕事、出会い、別れ、などです。

登場人物を通して、これらの経験を疑似体験できます。

 
マンガや小説も同じです。

テレビドラマを見る、マンガや小説を読むのであれば、息抜きがてら実施できます。

余談ですが、勉強ばかりしていると人間味のない、つまらない人間になってしまいます。勉強ばかりせずに、これらの息抜きの時間もしっかりと確保することをおススメします。

ただし、ジャンルが偏ると、増える知識も偏ってしまいます。普段は興味を持たないジャンルなども選ぶようにしてみてください。

論理パターンを身につける

論理力を身につけるには、「語彙力を鍛える」「人生経験を増やす」に加え、「論理パターンを身につける」ことも大切です。

ただ、論理パターンといっても、次の1つしかありません。
 


〇〇は△△だと思っている。なぜなら、◇◇だから。

〇〇には人、△△にはその人の考え、◇◇には根拠、が入ります。


 

例えば、「私は眠い。なぜなら、昨日徹夜で勉強したから」といった感じです。相手からこのように言われれば、「徹夜したなら、そりゃ眠いわな」と納得できます。

 
このように、相手を納得させるのが論理です。

相手を納得させるには、「伝えたい思い」と「根拠」をセットで伝える必要があります。

現代文も同じ

「〇〇は△△だと思っている。なぜなら、◇◇だから。」

現代文もこのパターンになっています。

 
センター現代文は、

  • 評論系の文章
  • 小説系の文章

の2題が出題されますが、どちらも論理パターンは同じです。

評論系の文章は「〇〇が筆者」に、小説系の文章は「〇〇が登場人物」になるだけです。
 

「伝えたい思い」と「根拠」に注目しながら読むことで、書き手の意図を読み取りやすくなります。

でも、実際に読むといまいちよくわからない・・

「でも、実際に読むといまいちよくわからない・・・」

そんな人もいると思います。

 
その理由は、

  • 根拠の部分が長いから
  • 日常生活ではあまり使わない言葉で表現されるから

です。
 

とくに、評論系の文章の場合は、根拠の部分が長くなります。

筆者の伝えたい思い(主張)は1文、2文程度、残りは全て根拠です。このような文章の中から、筆者の主張を探すのは、まさに「ウォーリーを探せ」状態。

筆者の主張がわからなければ、文章全体の意味も読み取りづらくなります。この対策については後述の「解法テクニック 全文を読まずに問題を解く」のところで紹介します。

 
また、評論系の文章、小説系の文章ともに、日常生活ではあまり使わない言葉で表現されます。これらは先述の「語彙力を鍛える」「人生経験を増やす」ことで対策できます。

解法テクニックを身につける

論理力を鍛えることで、書き手の意図を読み取れるようになります。

しかし、センター現代文はそれだけでは不十分です。

  • 文章量が多い割に、制限時間が少ない
  • 選択肢が紛らわしい

といった理由から、解法テクニックも必要となります。

「文章量が多い割に、制限時間が少ない」の対策

センター現代文は文章量が多い割に、制限時間が少ない、といった特徴があります。

  • 現代文(評論系)
  • 現代文(小説系)
  • 古典
  • 漢文

これらを80分で解く必要があります。(2019年現在)

古典、漢文は、現代文に比べて短い時間で解ける傾向があります。そのことを考慮すると、現代文(評論系)、現代文(小説系)に使える時間はそれぞれ20分~25分程度。問題を解く時間もあるので、本文を読むのに使える時間は10分~15分程度。

 
それに対し、文章量は

現代文(評論系)は4,000字程度
現代文(小説系)は5,000字程度

 
全ての文章を読むとすると、1分間で400字程度を読む必要があります。1分間で原稿用紙1枚分を読むスピードです。
 

流し読みでよければ、このくらいのスピードで読めると思います。しかし、読んだ後には、問題を解くという作業が待ち構えています。しかも、出てくる言葉は、日常生活では使わないものばかり。

どんなことが書いてあったか、それはどのへんに書いてあったか、などが頭に入っていなければ、読むだけ時間のムダです。

 
理想は、難解な文章でも、早く読めるようにすること。読む量を増やせば、読むスピードは自然と上がっていきます。

しかし、高校生は、他の科目の勉強もしなくてはいけませんし、部活などもあります。大量の文章を読む時間を確保するのは簡単ではありません。

全文を読まずに問題を解く

どうしても読むスピードが上がらない人は、「全文を読まずに問題を解く」ことをおススメします。

ただし、これから紹介する方法は邪道な方法です。使う場合は自己責任で。王道は、全文を速く読むこと。まずは、王道を目指してください。

まずは、「冒頭」「傍線部」「末尾」の段落だけを読む

文章のキーポイントを理解すると、文章全体の意味を理解しやすくなります。

 
文章のキーポイントとは、

評論系の文章であれば、筆者の主張、
小説系の文章であれば、登場人物の心情、

などです。

 
これらが書かれやすい場所があります。それは

  • 冒頭の段落
  • 問題の傍線部の段落
  • 末尾の段落

とくに、注目すべきは、「問題の傍線部の段落」です。出題者が傍線を引く理由は、そこが文章の中で重要なポイントだから。

もちろん、全然関係ないところにも傍線を引くことはできますが、そんなことをしたら「センスがない」と日本中の先生から非難されてしまいます。高い確率で傍線部がキーポイントとなります。
 

冒頭の段落→傍線部の段落→末尾の段落

 
と読み進めていくことで、文章全体の意味をぼんやりと把握できるようになります。

このぼんやりが重要です。全体像を少しでも把握している状態と、全体像が全くわからない状態とは、その先の理解に雲泥の差が出ます。

次に、傍線部の前後の段落に注目して問題を解く

次は、傍線部の「前後の段落」に注目して問題を解きます。文章には流れがあるので、「傍線部の段落」と「前後の段落」との間には強いつながりがあります。

つまり、答えのヒントがある可能性が高い、ということです。

  • 「冒頭の段落→傍線部の段落→末尾の段落」と読み進めること
  • 傍線部の前後の段落を読むこと

これだけで、たいていの場合は、選択肢を2個までに絞ることができます。そこから、正解を導けるか、導けないかは問題によります。

ですが、とりあえずはこの状態で一旦、問題を解いて先に進むことをおススメします。傍線部の前後段落以外の場所を探し出すと、結局全文を読むことになります。であれば、最初から全文読んだ方が効率的です。

しかし、もともと時間がないから読む部分を省略したはず。これでは本末転倒です。
 

センター試験で一番やってはいけない失敗が、「時間不足で手をつけられない問題を作ってしまうこと」です。受験は総合点の勝負。難しい問題を1問解くより、簡単な問題を2問解いた方が総合点が高くなります。

この方法を実践するためには「論理力」が必要

この方法を実践するためには「論理力」が必要です。少ない情報から書き手の意図を読み取る必要があります。

知らない言葉があると、厳しい戦いを強いられることになります。論理力、とくに語彙力を鍛えることが重要です。

「選択肢が紛らわしい」の対策

論理力もある、読むスピードも十分。にもかかわらず点数を取れない場合があります。

それは「選択肢が紛らわしい場合」です。

出題者は、受験者の点数がバラけるように、不正解の選択肢を正解に見えるようにしたり、正解の選択肢を不正解に見えるようにしたりします。
 

よくあるのが次のパターンです。

  1. 概ね正しいけど、一部が本文の意に反している(不正解
  2. なんとなく正しそうだけど、本文には書かれていない(不正解
  3. 本文の表現とは違うので、不正解に見える(正解

ぼんやりとしか文章を理解していない人は、1番と2番のパターンでひっかかります。語彙力の弱い人は3番のパターンでひっかかります。

選択肢を削る手順

選択肢を削っていくときには、次の手順がおススメです。

 
まずは、本文の意に「概ね」沿っているかどうかを判断します。「全文を読まずに問題を解く」のところで紹介した方法を使えば、この時点で選択肢を3つ以内に絞れるはずです。

 
次に、1番目のパターンをチェックします。つまり、本文の意に沿っているかを「細かく」チェックしていきます。ただし、探す場所は、冒頭の段落、傍線部の段落、傍線部の前後の段落、末尾の段落です。多くの場合、この時点で正解を導けます。

 
しかし、正解を導けない場合も当然あります。この場合は少々厄介です。いわゆる、難問と呼ばれる問題です。「正解の根拠が傍線部から離れている場合」や「残りの選択肢に2番目のパターンや3番目のパターンが残っている場合」です。
 

正直、この問題を正解できるかどうかは「運」の要素が入ってきます。ただ、ここでの「運」とは、制限時間内に本文の中から根拠を見つけられるかどうかの運のことです。試験として出題される以上、本文のなかに正解となる根拠が必ずあります。

しかし、たいていの場合、根拠を探すのに時間がかかります。

 
こういった問題は、時間の許す限り根拠を探して、時間が来たら直感で選ぶことをおススメします。1つの問題に時間をかけすぎるのは得策ではありません。

普段の練習は「満点」狙い、試験当日は「8割」狙いで

普段の練習は「満点」狙い、試験当日は「8割」狙いがおススメです。

現代文、とくに、センター現代文は、本文に「正解の根拠」が必ずあります。つまり、じっくりと時間をかければ、必ず満点が取れるようになっています。

満点を目指して取り組むことで、「論理力」や「解法テクニック」がどんどん磨かれていきます。
 

一方、試験本番は8割狙いがおススメです。時間のかかる問題が少なくとも1問は出題されます。満点を狙いに行くと、そのような問題に足止めされ、ドツボにはまってしまう可能性があります。

 
高得点を狙いたい!でも、1問くらいは間違ってもいいや
 

そのくらいの気持ちで臨むことをおススメします。

センター現代文攻略法まとめ

  • 普段の現代文の授業を有効活用して、語彙力を増やす
  • テレビドラマなどから、人生経験(疑似体験)を増やす
  • 「伝えたい思い」と「根拠」を意識しながら読む
  • 「冒頭」「傍線部」「傍線部の前後」「末尾」の段落に注目して問題を解く
  • 1問に時間を使い過ぎない
  • 本文の中に「正解の根拠」が必ずあることを強く意識する